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日本のIT人材を取り巻く環境と状況

コンピュータシステムの発展に伴い、IT人材の不足が叫ばれて久しい。日本では1980年代に「ソフトウェア危機」という言葉でソフトウェア技術者の不足が警告されたのを皮切りに、その後も一貫してIT関連技術者が不足している状況にあり、これまでのところ大きな改善には至っていない現状があります。

【現状と課題】

・2030年に最大79万人のIT人材が不足するとの経済産業省試算
・特にAI、IoT、ビッグデータ等に象徴される先端IT人材の需給ギャップの拡大傾向が顕著
・技術者は社外ベンダーに偏在の傾向。ユーザ企業内のIT人材の強化と育成が急務
・他先進諸国に比べ相対的に低い給与水準。また若い世代からの人気が低迷

出展:経済産業省委託事業「IT 人材需給に関する調査」

【解決に向けた取り組み】

システム開発等の効率化
近年、AIや開発手法・ツール等の進化によりシステム開発や運用・保守業務の効率化への取り組みが進んでいます。
・RPA、ローコード/ノーコード開発:高度なプログラミング技術を必要としないため、例えば業務担当者自身によるアプリケーションの開発をも可能とする技術
・チャットボット等、新技術の活用:進化したAI技術により、プログラムコードを自動生成可能。これにより効率的な開発が可能となる

リスキリング等による新たな人材リソースの創出
現在は事業環境の大きな変革期にあり、例えばIT以外の業務従事者が、IT技術の学習、習得を行うことにより、新たにIT技術者として活躍の場を得ることが可能となる。今後は、業種・業態を跨った就業者の労働シフトの動きがさらに顕著になるものと考えられています。

学校教育への組み込み
近年、プログラミング教育の対象者の低年齢化が進んでいます。早い時期からIT技術に触れることにより、高等教育や職業選択にIT技術系の進路を希望する、あるいは様々な生活の局面でITが駆使できる若年層が増えることが期待されています。

外国人技術者の採用
日本ではIT技術者の不足が顕著ですが、海外においてはIT技術者の供給が需要を大きく上回っている国もあります。
例えばインドでは、毎年100万人以上の理工系大学新卒者を輩出しています。多くの新卒者が欧米やインド国内の企業に採用される一方で、全体的には供給過多の傾向が見受けられ、就業先を求める大きな人材プールが存在しています。

このような環境の下、上記のような複合的な対策の実施とその効果により、日本のIT化の進展が期待されています。

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