インド その台頭するグローバルパワーの源泉

① 巨大な人口と市場 : 2023年 人口世界第1位へ

ご承知のとおり、インドは約14億人もの人口を有する巨大国家です。近年、人口増加率はやや低下傾向にあるものの、それでも2023年には中国の人口を抜いて、世界第1位となる予測です。これはアジアの巨大な経済地域であるASEANと比べても約2倍の規模となります。加えて若年層が多い人口ピラミッド構造を形成しており、豊富な就労人口を有しています。
また、経済の発展とともに分厚い中間層そして富裕層を形成しつつあり、労働力の供給源としてだけでなく、将来に向けて大変魅力的な市場として見ることもできます。

② 急速な経済成長 : 世界第3位の経済大国へ

インドは、中・長期にわたり高い経済成長を達成しています。近年は新型コロナウィルスの影響等もあり、年によりGDP成長率のぶれ等はあるものの、例えばIMFでは2019~2023年期で年平均7.7%という主要先進国・新興国の中でも一番の経済成長を予想しています。全体的に一貫して高い経済成長が続いています。数年中に日本のGDPを追い抜き世界第三位の経済大国へ、さらに2050年には米国のGDPをも抜き去ると予想されています。

③ 世界最大の民主主義国家 : 安定した内政運営と言論の自由

インドは第二次世界大戦後にイギリスによる植民地支配から独立を果たしました。多くの人口を抱えながら、一貫して選挙による議員制度を維持しており、現在世界最大の民主主義国家として君臨しています。新興国の中には、政治的な不安定要素を抱える国家も多い中、インドは特質すべき安定性を維持していると言えます。このため、海外からの資本投資先としても良好な環境を維持し、今後とも発展していくものと期待されています。

④ 国際的プレゼンスの上昇 : 広大な国土面積と地政学的重要性

インドは、世界で7番目、日本の面積の8倍以上にも及ぶ広大な国土を有しています。また、インド太平洋地域は21世紀のグローバル化の流れの中で、特段に重要性が増している地域とも言われています。大国を含めた多くの国々が存在する中で、急速に国力を増しているインドへの期待と羨望といったプレゼンスは益々その意義を高めています。インドを巡る強国の綱引きも、さらに激しさを増していくものと思われます。

⑤ 世界を席巻するインド人ネットワーク : 拡張する巨大ネットワーク

インド国外で暮らすインド系移民は、インド政府の推計によると実に3000万人以上にも及びます。これらの人は印僑(いんきょう)と良ばれ、中国系、ユダヤ系と並び、世界3大移民ネットワークの一翼を担っています。農場や工場での就業者はもちろん、近年ではIT系の技術者や起業家・多国籍企業の事業展開を行うエリート集団なども多く輩出し、産業界・経済界を中心に世界に大きな影響を及ぼしています。

 

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